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美術館に行くのってある程度知識を入れておかないと楽しくなさそう。
美術系の大学に通っていない私のような人間は、まずそんな思考が浮かびます。美術館に行くのってなんだか敷居が高いように感じるんですよね。
正直私も初めて美術館にいくときには、どのようにして楽しんだらいいのかがわかりませんでした。
ですがそんな私でも、最近は様々な美術展に足を運んでは、心の底から目の前の作品を楽しんだりすることができるほどに、美術館や美術展における自分なりの楽しみ方がわかってきたように思います。
今回は、美術館や美術展、アートをもっと楽しむための楽しみ方をお伝えしていきます。
私は普段から絵を描いているわけでもなく、どこか美術系の大学や専門学校を出ているわけでもない、ほんの少し美術に明るいかな?程度の全くの素人です。そんな特段アートや美術に詳しいわけではない素人の私だからこそお伝えできる視点で、もっと楽しむための楽しみ方を綴ってまいります。
初めに結論をあげると、美術の知識がないと楽しめないかな?と思う不安が、美術館やアートを楽しむことができない最大の要因であると私は感じます。
美術館に行くとなると、「何かを知っとかなきゃ絶対楽しめない!」とか難しいこと考えてしまいがちですよね。なんか知っとかないと絵を見てもわからないような気がするんです。
私もその一人で、美術館や色々な美術展を楽しんでいる方々が羨ましく「やはり皆さんしっかり勉強して向かわれているのかな?」と疑問に思っていた程です。
ですが、実際に行ってみると「何かを知っとかなきゃ絶対楽しめない!」ということは全くなく、美術の知識が全くゼロでも美術館や美術展は大いに楽しむことができると、私の経験からもお伝えできます。
必要なのは、学術的なことでなくて自分の気持ちに素直に楽しむ心であると、自分の中で結論づいてきました。この点について詳しく解説します。
色々な展示を楽しむ方法は様々かと思いますが、一番簡単なのは、とにかく自分の感性や好きを大事にすること。すごくシンプルなことなんですね。難しいこと考えなくていいんです。
全くの美術ど素人なりに美術館や企画展、時には博物館などへ足を運んでみた結果、この楽しみ方に行きついています。
自分の感性や好きをアンテナにするために、私なりのポイントみたいなものが確立してきました。そのポイントとなることは次のようなことになります。
Joseph Mallord William Turner,『Venice, from the Porch of Madonna della Salute』/ via Metropolitan Museum of Art
まずは色に注目して作品を楽しむ方法。これ個人的に一番わかりやすくて、今でも鑑賞のための一つの「目線」として大切にしています。
絵を見ていると「この画家のこの色が好きだな〜」みたいな感じで、なんだかビビッとくる色合いってあるんですよね。不思議なんですが、自分の好きな系統の色合いがあることに気づけます。
この方法で楽しむうちに、自分がどんな色味・色合いが好きなのかが徐々にわかってくるようになりました。
私はすごく水色が大好きです。
でも、水色といってもあまり気に入らない水色もあったりして、水色ならなんでもいいわけでないことにも気づきました。水色という一語で表せる色にしても、それぞれの画家によって雰囲気が異なり、この人の描く水色が好きだな〜と思うことがしばしばあるものです。
特に、シスレーという印象派の画家の水色!これが私は大好きで、初めて見たときは感動のあまり、漫画やん!というぐらい”言葉を失う”という現象を体感しました。本当に心奪われる瞬間って体験できるものなんですね。びっくりです。
Edgar Degas,『Dancers, Pink and Green』/ via Metropolitan Museum of Art
色に注目することと合わせて、この方法も非常に簡単だし、自分の趣味嗜好がはっきりわかりやすい方法かなと思います。
本当に単純なもので、館内の作品を順々に見ていくうちに、パッと一眼で「うわ!なんかわかんないけど、この作品好き!いいな〜」と心惹かれる思いになる作品があるかと思うので、そうした作品を心の赴くがままに楽しむんです。
感情の大小あれど最低でも一つくらいはそういった作品が見つかるはずです。
大切なのは、「なんかわからんけど好き!!!」という気持ちです。
はじめは何がどう好きなのかをはっきりする必要はないと個人的には思っていて「どこが具体的にいいのか説明するのが難しい気がするけど、これなんかいいんだよな〜」と思うぐらいで大丈夫です。そうした作品を、流れに身を任せるように楽しんでみるとすごく心地よい気持ちになります。
鑑賞に少しづつ慣れてくると、「いつも気になるのはこの時代らへんの作品の雰囲気なんだ!」とか、「この画家が醸し出す世界観がなんか好きなんだな〜」と自分の好みがだんだんわかってきます。
私の場合は当初、柔らかい雰囲気の作品が好きだなと漠然と考えていたのですが、それがだんだんと言語化できるようになり、今では
すごくまだまだ浅はかではありますが、自分の嗜好がわかってきたことで展示をより楽しめるようになってきました。自分の嗜好がわかってくるとめちゃくちゃ楽しいです。
西洋画ひとつにとっても時代の流れなどもあって、描かれている手法が異なっています。
それにより、表現されているその画家の世界観も多様なものとなっていて「こうした手法で描かれる作品もいいな〜」と眺めていくのも楽しみ方の一つになるほどです。
2020年に開催されたロンドンナショナルギャラリー展。
私が初めてきちんと美術展を楽しめたと思ったのは、この企画展でありました。そこで目にしたテンペラと呼ばれる、卵の殻などを顔料に混ぜ合わせて描かれる手法の作品に涙を流したのが今でも忘れられません。
それまで「絵を見て涙を流すなんてあるのだろうか?」と思っていた私にとって、この日の衝撃はすごく大きかったです。腰から力が抜けた様な気分。体が脱力した感じでした。
それほど卵を使ったテンペラの作品が鮮明で美しく、そして細部まで非常に拘ってある作品であって、油彩などとはまた違った味わいがめーっちゃくちゃ心地よかったです。
私自身これまでに行った美術展で感じたことや新たな気づきも記事にしています。
より具体的に体感できたことをまとめていますので、ぜひ参考にしていただけますと嬉しいです。
ここからはより美術館や企画展をさらに楽しむための具体的な方法をご紹介します。
美術関連の知識を増やしたり、自分の趣味嗜好を知って今後の鑑賞をさらに楽しむために、やっておきたいおすすめ方法と、鑑賞した記念を残すための簡単な方法をまとめました。
常設の展示ではご用意がないところもありますが、企画展ににおいては入口に必ず、展示されている作品が順番に列挙された作品リストが置いてあります。
こういった薄いパンフレットのようなもの。
これを手に取りながら回遊していきます。その際に、気になった作品に印をつけるようにするのがおすすめです。
大抵の美術館では、その作品リストの紙の近くや入り口近くに使い捨てのペンシルや貸出用の鉛筆が置いてあります。また、展示フロア内其々の場所にいらっしゃるスタッフの方々にお声がけさせていただくと、ペンシル等をお借りすることもできます。
展示室内を回りながら、先述の好きな色合いであったり、質感であったり、ぱっと見で気になるものであったり、自分の心が動かされたと思う作品に印をつけるようにしてみてください。
その後展覧会を出られてから、そのリストの印を辿っていくと、自分自身の美術的な趣味・嗜好を見出すことができます。
他の美術館や企画展へ足を運んだ時のものと合わせてみていくと、同じような時代の作品や作者、似通った系統の作品に印をつけていることが多いと思いますので、自分の好きな時代や作者、作風、雰囲気などをだんだんと理解していくことができるので非常におすすめです。
どの企画展も最後の展示室を出ると、出口付近または直結した場所に「ショップ」が設けられています。そちらではその企画展に関連した様々なグッズが販売されています。
展示されていた作品の画像と詳細な解説が合わさった図録や、複製画をはじめとしたものや、マグカップやTシャツ、クリアファイルやポーチなど、多様なものが取り扱われており、見ているだけでも楽しいものです。
そこでは恐らく絶対と言って良いかと思いますが、展示されている作品のポストカードが販売されています。(もしない場合がありましたらごめんなさい。。。)お値段がほとんどの場合1枚150円前後とお手頃なもの。
私は毎回必ず、美術展の最後には来場の記念にポストカードを買う様にしています。
誰か有名な画家の人のを!とかで選ぶのも良いですが、自分がその日1番心を打たれたと思う作品のカードをチョイスされることをオススメします。自分の美術館ルーティーン的なものにもなりますし、好きな画家の作品で簡単なコレクションもできてしまいます。
ここまでご紹介した楽しみ方を自分なりに見出すまでには、いくつかの本も読んでみました。個人的にわかりやすくて、読んでいて楽しかった本をご紹介します。
「美術作品を楽しむのに、難しい知識はいらない。自分なりの見方で楽しむのがいいんだ」
そんなことを強く気づかせていただけたのが、本書『13歳からのアート思考』でした。本屋さんで目にされたことがある方も多いかもしれませんが、アートを楽しんで行く上での第一歩を踏み出すために必要な「見方」を知ることに特化した本と言える気がしています。
それぞれの章でいくつか名画が紹介され、一見美術に明るくない私などからすれば「これは何が良いとされているのだろう?」と感じる作品も、様々な視点で見ることで見えてくるメッセージ性や新たな見方を気づくことができる1冊です。
美術品オークションの大手クリスティーズジャパンの社長である山口桂さんの著書です。本書は美術全般に渡っての楽しみ方、向き合い方についてが網羅された一冊といった印象でした。
実際に美術の現場に立っている山口さん独自の実体験もベースに構成されているため、具体感を持って美術の世界・業界に関しても知り得ることができます。
特に個人的に参考になったのが美術館での実践的な楽しみ方の部分。
先に私がご紹介した「作品リストへ気になった作品をチェックする」という方法も、元は本書を参考にし、自分なりに試行錯誤した結果行き着いた方法でした。
これまで美術館や企画展というものに興味はあっても、どこか敷居が高そうと感じるのが本音の部分にあり、足を伸ばすことがなかなか容易でありませんでした。
ですが、いってみると楽しめるもので、自分の心に突き刺さるような絵を目の当たりにできたときには、体の全身から力が抜けるような感覚になり、自然と涙が流れるものなのだと感じています。
それほど、それぞれの作品には素晴らしい魅力を感じているところです。
これから美術館へ行ってみようかなと思っている方は、肩の力を抜いて自分の視点で楽しむことで、より素敵な時間が流れることを願っています。