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アメリカと大統領を知る - バラク・オバマ氏『約束の地 大統領回顧録I 上』

16 August, 2021
アメリカと大統領を知る - バラク・オバマ氏『約束の地 大統領回顧録I 上』

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書店でオバマさんの素敵な笑顔に魅了されて、思わず手に取っていました。これまで、こうした政治の類の本はあまり手にしてこなかったのですが、大統領という仕事の裏で繰り広げられるリアルを知ってみたい。そう思い読み始めたものです。

オバマ大統領がどういった思いで大統領選挙へ出馬し、実際に大統領としての職務を全うされていったのか。リアルなアメリカの政治を少し覗くことができた気がしています。

次の世代を担う若者へ向けて書かれた大統領の回顧録


第44代アメリカ大統領であり、多様な人種の方がいるアメリカにおいて、初のアフリカ系アメリカ人として大統領に就任されたバラク・オバマさん。上下巻で刊行がなされているうちの上巻となる本書は、学生時代の彼の様子から政界進出を決意され、大統領選挙へ出馬、当選。その後大統領としてどのような日々を過ごされたかが書き記されています。

上巻だけでも全部で500ページ越えとなるため、正直読み進めることができるのか不安ではありました。政治といった問題ですから、途中で飽きてしまって読むのが億劫になる心配があったのも正直なところです。ですが、大統領としての仕事やアメリカの政治観、生活に興味を持った自分としては、時系列で活動を追っていくことが読んでいるうちに楽しくなり、より探求したい思いに駆られたのが読了後感じたことでもあります。

アメリカにおける人種の問題から考えたこと


これまでアメリカでの人種の問題は、学生時代に勉強した内容であったり、ニュースや新聞で目にする内容程度であって、アメリカで人種ということがどのように扱われているかを鮮明にわかっていませんでした。今も決して深く理解が進んでいるわけではないので、まだ勉強すべきでありますが、それを前提としても、本書を通してアメリカという国においてこの人種ということが大変大きな問題であることを理解できたと感じています。

オバマさん自身がアフリカ系アメリカ人として初めての大統領であるわけですが、アフリカ系となる人種のオバマさんが大統領として立候補することにも意味があり、そのこと自体が彼の立候補への原動力の一つともなっていたことが本書からはわかります。この感覚が日本においてはあまり馴染みのないものであるよなと感じたのが率直なところです。〇〇系日本人が初の首相に!とか、〇〇系日本人が文部科学大臣に!といったニュースを目にすることはありません。

ですがアメリカにおいては、人種によってはこれまでの大統領としての歴史に新たな動きをもたらし、そのことが国内で悩みを抱え、希望を持てないでいる人への大きな力ともなり得るものなのだと、考えさせられました。

また黒人、白人といった問題についても同様です。これまでの歴史の中で黒人の大統領は誕生しておらず、その中で黒人初の大統領となることがどれほどの衝撃なのかということも、アメリカと黒人・白人の歴史が深く絡みついており、この部分の探求についても深めたくなったように思います。

大統領とその家族


本書では大統領としての生活や家族との関係なんかについても諸々語られています。アメリカ合衆国という大国の長というわけで、その生活が一般市民とは大きく異なることは、映画やドラマなんかでも目にしてきました。実際の生活も本当に映画の中に出てくるような形であったのが大変印象的です。どこにいくにしても警護が必要で、外出先にはどこへいっても報道陣が必ず詰め掛けるものであると。自分の父が大統領であって、皆と同じようにちょっと公園で遊んだり、ふらっと本屋さんに立ち寄ることが極めて難しいとなれば毎日が窮屈だろうと感じます。

それと反対に、自分が大統領の身になった時、子供に満足のいく生活をさせてあげることができないことはどれほど苦痛なことであるか。また、それを犠牲にしながらも自分の理念や心情を貫きながら、国のために全力を捧げることは容易なことでないだろうとも考えたものです。実際に本書においては、父といった目線での大統領の苦悩もリアルに書き記されています。

普段政治については新聞やネットのニュースを見る程度の私ですが、それでも本書を通して、政治と絡む人種や価値観、思想などの多くの問題についても今後探求していきたいと強く思いました。結構なボリュームですので、読むことを躊躇っている方もいらっしゃると思いますが、大統領ってどんなことするんだろう?くらいの軽い気持ちで読み始めても面白いかとおもいます。

About the Author

suda

suda

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知的好奇心旺盛な20代。多趣味で、読書とプログラミングが好き。夢は妻と併用の木の温もりを感じる書斎を設けること。