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旅から学べることは何かを知る - 有川真由美さん『人生で大切なことは、すべて旅が教えてくれた』

2 August, 2021
旅から学べることは何かを知る - 有川真由美さん『人生で大切なことは、すべて旅が教えてくれた』

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観光旅行もいいけど、もっと自分の価値観や考え方を変えられるようなディープな旅がしたい。そう思えるような本に出会えた気がしています。

綺麗な景色や美味しいご飯に痺れるような思いを抱くのもいいのですが、現地の人との触れ合いや、リアルな生活、大切にされてきた歴史や伝統の裏に隠された人間としての知恵や生き方、惨さといったことから直接学びとれるのは、やはり旅しかないのでしょう。

本当の意味での旅とは何か。

今回は有川真由美さんの『人生で大切なことは、すべて旅が教えてくれた』から、旅の意義と魅力を探ります。

「変わらない」という選択 ーギリシャ旅の部分からー


ギリシャといえばパルテノン神殿をはじめとした歴史的な建造物の数々や、ソクラテスやアルキメデス、ピタゴラスといった数多くの偉人の存在、功績の数々が挙げられるでしょう。

オリンピック発祥の地でもあって、文学、哲学、スポーツ、建築などなど、現代にもつながる多数の文化がはるか昔に生まれた場所といったイメージが強い場所な気がします。

著者である有川さんはそんなギリシャを訪れ、ギリシャという街から、これ以上何を望むのかといったようなニュアンスを感じたようでした。お気楽な国民性もあるギリシャ人の方々は、無理に変わるといったやり方よりも、変わらないことを選び続けられてきたのであると。また、これ以上は何もないと、現実を諦めるような一面もあるように思われたようです。

直接的に何かどうであったということではなく、ギリシャという町から有川さんはこう感じ取られたようでした。また、すでに何かを持っていると、更なるものを求める力がはたらかないのかもしれないといった考えにも至られています。

ギリシャと日本の類似


この有川さんが感じられたとされるギリシャの”空気感”からは、日本との類似点や学べる部分が多いにある気が個人的にはしています。

ギリシャに古くからの歴史や伝統的なものが多数残されているように、日本においても、伝統的なものは数多く残されていると言えるでしょう。昔ながらの家々であったり、歌舞伎や浮世絵などの日本文化、仏教や神道と寺社仏閣などなど、日本らしい伝統は多数あると考えると、ギリシャと類似する部分がいくつか見えてくると考えます。

こうした日本の伝統に対して、私たちは消極的になってしまっていないだろうかと、そんなことを考えさせられました。日本の文化を正しく理解して継承し、後世にも残るように正しい形で発展させていく。

そこには、消極的な諦めの姿勢ではなく、既に伝統や文化を持っているという誇りと合わせて、いい意味で”変わらない選択”を取るということも必要なのかもしれません。

自分の現実の姿をそのまま認めようとすることは、あきらめることではなく、成長しようとすることなんだと私は理解した。
『人生で大切なことは、すべて旅が教えてくれた』


ギリシャの旅では、人からだけでなく、町や歴史的な文化・伝統といったことからも多くのことを感じられた姿勢からは、”旅の意義”を十分に理解できた気がします。

便利な世の中と引き換えに衰えた力 ーフィリピン旅の部分からー


近頃は、私たちの生活も大変便利なものとなってきました。好きな時に好きなものが食べられて、暑くなればエアコンをつけ、何か情報が知りたくなればネットで瞬時に検索ができる。洗濯だってスイッチひとつで完了してしまいます。

有川さんは旅の中で、こうした便利な生活により衰えている力があると気付かれたようでした。

フィリピンで生活しているという少数民族である「アイタ族」の元を訪れた際に感じられたことです。最近は近代的な物を使ったりもする部分もあるというアイタ族ですが、その生活は昔ながらのサバイバルな生活といえます。

ナイフ一つで狩猟や採集、また料理や火起こしも行うようで、怪我をすれば豊富な薬草の中から、その怪我にあったものを探し出すという、これまた人間の知恵が詰まった部族と部族といえるでしょう。

そんなアイタ族と私たちの生活を照らし合わされた結果、私たちからはサバイバル力が衰え、それと引き換えに人間社会を生き抜くための力が必要になっているんだと有川さんは考えられます。

サバイバル力よりも精神力が求められる時代


ここで気付かされるのは、ごく当たり前なことですが、私たちはより精神的な力ばかりを必要としてきていることです。自然法則的な生きる力よりも、精神的な生きる力が必要になってきてんだと改めて考えさせられました。

とはいえ、日々いろいろなことを学び、生活に生かそうとする上では、ここまで便利な世の中になる前に大切とされてきた自然法則的な生きる力も、ここ最近改めて必要になってきたように思います。

デスクワークが必要とされたり、ゲームを家にこもってやるような毎日が続くと運動不足になるわけですが、最近はそうした運動不足が生活習慣病や鬱症状にもつながることが広く言われるようになってきました。

だからこそ筋トレやウォーキング、ランニングなどの運動が推奨されるようになってきたわけですが、これらの運動はきっと、アイタ族のように自然とともに生きる暮らしならばそこまで重要視されない物でしょう。

そうした視点に立ち返りますと、私たちは高度な技術発展と合わせて、自然法則的な生き方を重要視する必要が出てきているのだと考え、不思議な気持ちにもなった気がします。

旅をすることは、こうした新たな視点や価値観を私たちに示してくれます。有川さんの旅を通して、これまでとは違った視点でのものの見方を生み出していただけたような気がしました。

About the Author

suda

suda

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知的好奇心旺盛な20代。多趣味で、読書とプログラミングが好き。夢は妻と併用の木の温もりを感じる書斎を設けること。