
当サイト・当記事には広告及びPRを掲載しています
自分が高校を卒業した頃に、この本をきちんと読んでいたらどれほど力になっていただろうか…と少し後悔しています。
これから大人になっていくという過程の中で、自分がどのように仕事を決め、どのように人生を進んでいくのか。そんなことをきちんと考える時であったり、大人になってからも人生をどう生きるのが良いのか迷った時には、この喜多川泰さんの『手紙屋』を手に取りたいものです。
現在就活をされている方や、転職活動を続けられている方、また社会人としてお勤めをされながらも将来をどのようにして行きたいのか、なんだかモヤっとしている方にもおすすめな一冊であります。
著者は「聡明舎」という学習塾を創設された作家の喜多川泰さん。
転職活動中である主人公の諒太が、普段からよく通っている「書楽」という喫茶店から物語は始まります。
この書楽ではコーヒーだけでなく書斎という少し変わった空間を提供しているのですが、その中に、社長が使うような一際豪華なデスクが設けられています。普段はなかなか使うことができないこのデスクですが、諒太は誕生日の優待券をきっかけにそのデスクを利用することに。すると、そのデスクにて「手紙屋」を謳うとある広告を目にします。
この手紙屋は、10通の手紙を通して、送り主の人生に役立つことを提供するというサービス。1通目は無料ですが、2通目以降は成功した人生の中で手に入れたものの一部を手紙屋へ渡すという条件で進められます。
この手紙屋との10通のやりとりを通して、諒太の価値観が大きく変わり、人間として大きな成長を遂げていく姿が綴られていくといった物語です。
手紙屋とのやり取りの中では、多数の”たとえ話”が登場します。
これが非常にわかりやすく、仕事や会社、また人生というものの考え方を大きく変えてくれるものでした。その中でも、会社を”人”例えた一節が個人的には会社というものの見方を大きく変えてくれたように思います。
人間は生まれて、出生届を出して戸籍が登録され、様々な人間関係を経験して、死を迎えます。同じように会社も、開業届を出したり登記をして始まり、良くも悪くも様々な経験をして、時には廃業であったり、合併や買収されて企業としての生命を終える。まさに人のようであるといった見方です。
そうして見て見ますと、就活や転職の場での会社との向き合い方も変わってくる気がします。
私は普段から筋トレをするのですが、やはり発達した筋肉は愛でたくもなりますし、より良い栄養を与えてあげたいと考えプロテインや普段の食事をより良いものへと改善したくなります。これはきっと会社も同じである気がするのです。
私たちは自分で事業を起こさない限りは、会社という大きな体の脚であったり筋肉となり、支えていく必要があります。
そうなれば、私たち自身も筋肉や関節としてしっかりと働けるよう努力したいものですし、逆に、こちらがきちんと身体を支える”部位”となれるよう、しっかりと栄養を行き渡らせてくれる会社とご縁をいただきたいものです。
仕事をする場所といった見方だけで会社を考えるのではなく、会社そのものを”人”として考えてみる。そうすると、会社側も何を望んでいて、自分たちは何を提供することができるのかがよりわかりやすく見えてくる気がしました。
生きていく中で一番大切なことはやはり、自分はどうありたいのかをきちんと知ることにあると感じます。
手紙屋との文通を通して感じる諒太の成長の中でも特に印象的であったことが、自分がどうありたいかを考えていった彼の姿にあったと個人的には考えます。そして、それこそ手紙屋が示す人生の中での大切なことでもあったと思うのです。
お金であったり待遇ということは働く上でもちろん大切であり、大手の企業に就職することも大変立派なことであると思います。ですが、惰性でその条件やステータスを求めるのは少し違うと痛感するに至ります。
将来の自分がどうありたいのか。
将来の夢を今すぐ決めるとかではなく、自分が一人の人間としてどう生きたいのか。
まずはそのことを軸に定めて会社を見つけていくのが大切だと再認識させられました。
きっとそうした自分の軸が決まれば、周りの目だけを気にして進むことができなかった小さな会社にだって、胸を張って志願することができるはず。
待遇もステータスとしても良い"大手"にとりあえず入ることができたとしても、確かに生活や自分のステータスとしての安定はあるかもしれませんが、何か満足できない部分がどこかしらで出てくる気がします。
諒太の成長を感じる手紙屋とのやりとりからは、こうしたことも考えさせられました。
---この『手紙屋』は、、会社や働くということ、また人生という長い旅路を新たな視点で見てみると、また違った進め方が見えてくるのだと気づかされた一冊でした。
上記以外にも本当にたくさんの気づきを与えてくれます。
就活や転職の時だけでなく、あらゆる場面において「手紙屋」と諒太と間で交わされた10通が、様々なヒントを私たちにくれるような気がしています。