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干し鱈が近くの魚屋さんやスーパーに置いてないかな?と、読了後すぐに探し回ったものです。
本書では「干し鱈」がちょこちょこ出てくるのですが、「ワイン」と合わせてすごく印象に残っています。
本書、馬田草織さんの『ようこそポルトガル食堂へ』は、実際にポルトガルを旅している気分で味わうことができた一冊。
実際にポルトガル旅行を考えている方も、この本でより旅行のイメージを膨らませるのも楽しいんじゃないかな〜なんて思いました。
編集者・ライターであり、食や旅にまつわる取材活動をされている(1)馬田草織さんの著書です。
ポルトガル内の六つの地方を舞台に章立てして構成されており、ポルトガルの様々な食文化についてを実際の体験をもとに紹介されているエッセイとなっています。
とにかく紹介される食材・料理がものすごく豊富で多種多様なのが本書の大きな魅力の一つといえます。また、食文化と合わせてポルトガルの民俗・風習・歴史なんかも食に関連しながら味わうことができるのも特徴。
章の間には「コラム」が用意されており、馬田さんのご経験もベースにされながら実際にポルトガル旅行をする際に役立つホテルの探し方や携行品、移動方法など、具体的な旅行の豆知識的なことについても知ることができるのが嬉しいです。
コラムには東京・大阪で楽しめるポルトガル料理店も紹介されていて、実際に旅行に行かなくても本書を通して、また日本国内だけでもポルトガルを感じられるのも魅力的だなと感じます。
先述の干し鱈をはじめ、仔豚、仔山羊、イワシ、鴨、タコ、お米など、魚介だけでなくお肉など地のものも含めて、本当にたくさんの食材が本書には登場します。
日本ではあまり主流でない食材などが出てくることはやはり、異国の地をテーマとした旅エッセイの魅力でもあって、興味をそそられるものです。
その中でも、干し鱈がちょくちょく登場します。
この干し鱈は基本中の基本となる食材のようで、文中には365種の干し鱈料理のレシピが存在していて、実際は1000近くものレシピがあるといったことも見られるほど、ポルトガル料理において大変主要な食材だということがわかります。
また、個人的に強く印象に残っているのが「血」。
冒頭では干し鱈についてのお話と続けて、生きた鳥をそのまま捌いて取り出した鳥の血を使った「鶏の血のリゾット」も登場します。
正直見た時にゾッとしたのですが、「それ食べられるの?すごくマズそう。。」という怖さのような感情半分、「実際自分ではどんな味に感じるのかな?美味しいのかな?」という興味の感情半分という複雑な気持ちで読み進めていました。
こうした「血」は、鶏だけでなく豚のものも使われるようで、お菓子に使われていたり、後半には地方の料理として練り物の中に練り込まて使われることも見られました。
あまり日本においては血を使った料理は珍しいような気がして、すごく新鮮さを感じたのも読んでいて楽しかった部分です。
干し鱈に続いて、ワインも本書では多数登場します。
ポルトガルはワインの名産国。様々な料理と合わせてワインを楽しまれている描写も、ものすごく心地よく、そんなにお酒に強くはないのですが「ワイン飲みたい!」とこちらもワクワクする気持ちに駆られました。
また、特段ワインについて明るくない私でも「ポートワイン」は聴き馴染みがあります。途中には、ポルトガルのワインとして有名な「ポートワイン」について、特徴的な高い度数と甘さについてが製造過程から含めて簡単に紹介されていました。
ポートワインをより知るためには「ガイア」という土地で楽しむのが良いらしく、ポートワインの本場の味に触れてみたいと思ったところです。
実際にポルトガルを旅行した際には、こうした「本場の味」を求めるような”大人の旅”というのも楽しいだろうなと、ふと考えながら読み耽っていました。
—ポルトガルには港が多いようなイメージがあります。
私自身、ベネチアやギリシャと合わせて、海や水と調和した街の造りがこれらの地には見られる気がしています。そんな街の雰囲気が大好きです。
今回読みながら、そうしたポルトガルの雰囲気を優しく感じらたのが本当に嬉しい気持ちになりました。
旅エッセイは、実際に旅に行かなくとも、自分とは違った方の視点で旅をした気分を味わえるのが大きな魅力。
そうした意味で『ようこそポルトガル食堂へ』 も、自分の部屋で旅行を楽しめるようであって、また、実際にポルトガル旅行へ行きたい方にも大変おすすめな一冊だと感じています。