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全体を通して美しいと感じる。
私が本を選ぶとき、もちろん中身やタイトルも重要視していますが、表紙のデザインも重要なポイントであると思っています。
「ジャケ買い」なんて言葉がありますが、表紙のデザインはその本の雰囲気を左右しますし、表紙が良かったから衝動買いすることはよくありますよね。
今回ご紹介する塩谷舞さんの『ここじゃない世界に行きたかった』も、表装からして芸術作品のような、個人的にはそんな本に出会えたような気がしています。
全体的に優しく美しく、高貴で、綺麗で、しなやかな印象なのに、内容は冷徹な部分もある。そんな二面性というのでしょうか、塩谷さんの独特な世界観とテイストに終始惹かれました。
まずは少し塩谷さんのお話から。
本書執筆当時、ニューヨーク在住で活動をされていた塩谷舞さん。
noteを通してエッセイを綴られており、メディアの運営もされています。本書『ここじゃない世界に行きたかった』は、そんな塩谷さんの心の底から湧き出す美しき感性によって、リアルな視点が綴られている一冊です。
ニューヨークという土地で暮らしているからこその生活事情、理想と現実のギャップ、今だからこそ感じられているバズライター時代からの学び、美に関する様々な認識、旦那さんとの価値観の相違、また大統領選や社会情勢といった場面からも感じられたことを綴られています。
冒頭にもお伝えしたように本書は、全体的に優しく美しく、高貴で、綺麗で、しなやかで、潔白で、本当に美しいものがそこにはあるというのが私の勝手な印象です。内容としては残酷で悔しく、悲惨で、嘆きたくなるような部分もあります。
この白と黒のコントラストと言うのでしょうか、うまく言語化するのが難しいですが、二色的な空間が大変興味深くて至る所で多くのことを考えさせられました。
全てを美しく綴られる文体と世界観と価値観に、塩谷さんの素敵な人間性や感性が滲み出ているのだと思うのです。
仕事に忙殺され、自分の希望する部署ではないところに配属となり、自分の生活から美というものの多くを排除されていた若き日の出来事が赤裸々に綴られている場面があります。
百貨店のレディースフロアも、女性雑誌も、全てが敵であると思うようなほどににまでなっていた塩谷さんですが、ある時から自分が美しいと感じるものを大切にされ始めたようでした。自分を殺すのはよくないですよね。
私はこうした美の視点から、強く背中を押されたような気がしています。
こうして今執筆しています私は男で、恋愛対象となるのは女性の方で、妻もいます。
そんな男の私ですが、本書のように白くて、優しくて、美しくて、高貴で、綺麗で...そんな世界を好んでいて、淡い花をモチーフにしたような女性らしいデザインが自分にとっては大変素敵であると感じます。スタバの桜のシーズンのマグカップだったりタンブラーとか最高です。めっちゃデザインがいい!
いつからか、そうした感性を強く感じるようになりました。
ですが、この世界観を言葉として誰かに表現することは少し恥ずかしさもあるんですよね。抵抗があるというか、どう思われるだろうというのは意識する瞬間があります。
本書を通して、そんな自分を肯定できたと同時に、こうもなれば自分の中にあるそうした感性をもっと豊かなものにして行こうではないかと思えたのです。
自分の中に芽生える美に対する視点を、もっともっと細胞レベルで大切にしていってあげたい。素直に、そう感じました。
---塩谷さんの色々な目線での気づきが綴られている本書『ここじゃない世界に行きたかった』では、美しく生きることは何かについて再度考えさせられます。
それは”視覚的な美”に限った話でなく、一人間としての”心のあり方的な美”についても言及されていると強く感じました。
やっぱり自分らしく生きることが大切ですね。そんなことを思います。