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『嫌われる勇気』をはじめとした書籍から、アドラー心理学の名が世の中で認知されるようになったように思います。私も以前、嫌われる勇気を読みましたが、そこで初めてアドラー心理学というものに出会いました。
ですが、アドラー心理学というものへの理解はふわっとしたもので終わっていたのが現実。
本書『アドラー心理学入門』からは、アドラーという人間の背景から合わせて、この心理学がどのようなものなのかを、より具体的に理解することにつながりました。
人間関係に悩まれる方だけでなく、サービス業をはじめとした人との関わりが多い方にも手に取っていただきたい一冊です。
著者は、日本アドラー心理学会の顧問も務められ(1)、『アドラー心理学シンプルな幸福論』や『アドラーを読む』など、アドラー心理学に関する著書も多数出版されている岸見一郎さん。
アドラーという人物の生い立ちや背景から始まり、本心理学と育児と教育についてのこと、また縦の関係よりも横の関係・対等な関係を築くことの大切さについて、アドラー心理学の基礎理論、そしてアドラー心理学を通して人生の意味を見出す、といった内容で構成されています。
中でも、なぜこの「アドラー心理学」が生み出されたのかという成立についても、アドラー自身の生い立ちや育ってきた環境から紐解かれているのが特徴です。そうした部分から、本心理学についてをより深く理解するための初段階として、手に取りやすい一冊であると感じます。
このアドラー心理学でハッとさせられるのが「目的論」でした。
注目を引くことがその行動の「目的」であるというような見方を「目的論」といいます。
岸見一朗,アドラー心理学入門,KKベストセラーズ
目的論で示される「目的」のイメージは、態度や言動が悪い生徒が”悪い行い”をしているのは、その生徒自身が”悪い行い”を目的として行っているという考え方です。
一般的には、「先生が厳しい態度で接しないからだ」とか、「親御さんの育て方が悪かった」など何かしら原因があるというふうな目線に持っていきがちですが、そうではなく、生徒自身その行動を通して何か成したいことがあるのだといった発想で見ていくのが本心理学的な見方のようです。
つまり、私たち人間が様々な感情のアクションを起こす際には、その行動は目的であってその裏には何らか理由があるとも考えられるように思います。一見簡単で当たり前のようにも見えます。
ですが、実際人間関係のなかでこの目的論の見方で目の前のことを理解していくのは、簡単ではない気もします。
うまくこの目的論を前提に家族や友達、会社の人や先輩後輩など、身の回りの人間関係を俯瞰して見てみることができるようになれば、真に求められることに気づくこともできるのかもしれません。
また、感情的に一方的に怒鳴ったり罵倒してくるような人に対しても、一歩引いた視点で冷静な分析をすることにもつながる気がしています。
私は昔から大声で罵倒したりする人が苦手で、接客業のバイトをする機会に理不尽な怒りを自分や仲間にぶつける人と対面すると頭がパニックになり、その後の行動が数テンポ遅れることがよくありました。
こうした自分の性格をうまく適応させるためにも、本心理学は有効な気がしています。
そういった意味でも、パニックになりやすい人でなくとも、対人でのお仕事をされるような接客業・サービス業のお仕事をされている方は、目的論を主軸とするアドラー心理学が大変有用なものとなるかもしれません。
---本書を読み進めると、アドラー心理学が大変現実的で厳しい面があることにも気付かされます。ですが、それだけ現実的に生かしていきやすい考え方の一つでもあるのだと感じました。
長い人生において悩むことも多い人間関係を、アドラー心理学を通して少しでも良いものとしていきたいものです。
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